当ブログでも経緯を何度か取り上げましたが、東方原作漫画の一つである「東方智霊奇伝 反則探偵さとり」が連載終了となりました。

元々、「東方智霊奇伝」は各話のエピソードが毎話連続して続いている作品なので、感想や考察などもストーリーの区切りのいいところで書こうと思っておりました。
どのような形であれこれで第二章が締めくくられると同時にいったんの最終話を迎えたので、本記事では素晴らしい作品への感謝の気持ちを込めて感想と考察を書かせていただこうと思います。

なお、当記事には性質上「東方智霊奇伝」の最終話のネタバレになりうる内容が含まれています。
まだ最終話を読まれていない方は、先に最終話を読んでから当記事をご覧になることを推奨いたします。


↓公式配信である「東方我楽多叢誌」に掲載された最終話へのリンクです。配信期限(2021年4月26日11:00まで)があるのでご注意ください。



 
最終話のあらすじ
最終話ではさとりが第一章と第二章でそれぞれ事件の舞台となった紅魔館と白玉楼を訪れて事件の被害者の咲夜とパチュリー、幽々子と妖夢に話を伺った後、犯人の狙いを突き止めて地霊殿に戻ったさとりが犯人の次の標的と予測した永遠亭に向かおうとするシーンで話は終わっています。

以上が大まかな最終話のあらすじなのですが、読めば分かる通りこの後予定されていたであろう第三章は十中八九永遠亭編を想定していたと思われます。
奇しくも前回、犯人に狙われている霊夢も紫に犯人の正体と目的を教えられて永遠亭に向かっており、永遠亭でさとりと霊夢が鉢合わせになるという展開が予定されていたのは想像に難しくありません。
そして、紫やさとりが予想したように話の展開的にも犯人も永遠亭に向かっている可能性は極めて高いため、第一章や第二章と同じように霊夢やさとりが犯行現場に到着したら、既に犯人によって事件が起こされていたという展開か、または犯人の犯行に間に合い直接対決するなどの展開になっていたものと思われます。


犯人の正体
現在明らかにされている情報によると、犯人は旧地獄から逃げ出した永久罪人の怨霊でさとりには反獄王と呼ばれています(一応、元ネタなどが引っ掛からないか反獄王というワードを検索して調べてみましたが、反獄王という名称が使われている作品などは本作以外にはなく、反獄という単語が脱獄のことを指しているくらいしか有力な情報は得られませんでした。)。
人間や妖怪に取り憑いて魔力を吸い取り、体を乗っ取ることもできるという非常に危険な存在です。
これらの情報は登場人物であるさとりによって劇中で語られた一方的な情報ですので、当然のことながら情報としては一部でしかないですし、間違いや読者へのひっかけなどがある可能性もございます。

紫は怨霊の正体と目的を知っており、それを霊夢にも伝えたのは上記のあらすじの通りです(肝心の会話は省略されて内容は読者に明かされせんでしたが)。
ここでポイントだと思うのは、正体を知ったはずの紫と霊夢が反獄王ではなく一環して怨霊だと言っている点です。
固有名詞があってそれの正体に気づいたのに、この二人が一環して怨霊呼びなのは何か意味がある気がします。
事件を起こした目的については、霊夢を怖がらせることが目的らしく、過去の異変をなぞって自分が霊夢をずっと見てきたことを霊夢に見せつけようとしているそうです。
あえて事件を早期解決させるために紫に取り憑いた可能性を霊夢が推理するなど、この怨霊は実力も知力も並外れて高く、かなりの強キャラであることは間違いなさそうです。

さとりの方も聞き込み調査と推理によって犯人が過去の異変をなぞっていることに気づいたのですが、それ以外にも重要なことをいくつか語っていました。
・反獄王はさとりやお燐よりずっと地上のことを見てきていて、ずっと地上のことを知っていること(旧地獄から逃げ出したはずなのに何故?旧地獄に行く以前は地上にいて、旧地獄に永久罪人として来たのも実はつい最近だった?)。
・霊夢を恨んでいて、更に霊夢を恨んでいる者を探している(協力者を集めている?それとも……)

現在作中で出ている怨霊(反獄王)についての情報はざっとこのくらいですかね。
これらの情報を元にして、ある仮説について考えてみようと思います。


反獄王=魅魔様説?
そのある仮説とは、ネット上の一部では既に噂として出回っているので聞いたことがある方もいるかと思われますが、反獄王の正体は東方旧作のキャラクターである魅魔様であるというものです。
これから書くのは仮説や考察なので、あくまで話半分に読んでください。

では、この仮説に該当する点を一つづつ挙げてみようと思います。
まず、反獄王と呼ばれる怨霊の種族は当然怨霊です。
魅魔様も二つ名は悪霊であり、Revengeful Ghostという日本語に訳すとまんま怨霊な別の二つ名や博麗神社に恨みを持っていたというキャラ設定から怨霊と言っても差し支えないでしょう。

魅魔様は旧作時代は霊夢をからかうことが日課だったそうです。
反獄王も各地で事件は起こしてはいるも、今のところ実害ではなく自分が今まで霊夢を見ていたということを見せつけることに目的を置いているようであり、正直読者側からしてみればやってることは愉快犯のような印象を受けます。

そして、反獄王はさとりよりずっと地上のことを知っていてずっと地上を見てきていたというのも、(これは旧作キャラ全体に言えますが)現在は隠居して見守っているというWin版以降の魅魔様の条件とも合致します。

もちろん、これらの該当する点は魅魔様にも当てはまるというというだけで、決定的な証拠ではありません。
当然反獄王は普通に新キャラというのも全く否定できないですし、元々魅魔様は旧作キャラという特殊な立ち位置で何かしら考察や予想の題材に上りやすいキャラでもあります。
なので、この項目はあくまでもそうだったら夢があるなぁ程度の噂や仮説として見てください。


続きはどうなるのか
本作はいったん連載終了になったのですが、最終話はどうなったかというと霊夢とさとりがそれぞれ永遠亭を目指すという明らかに話の途中で物語が終わっています。
通常ならここで終わるのはまずありえない展開ですが、本作は作画担当の銀木犀先生の体調不良という事情があっての連載終了ですので、止む終えない処置だと思います。

私としては銀木犀先生の漫画をまた読みたいのですが、こうなっては作画担当を交代して「東方智霊奇伝」は続くということも十分あり得ると思います。
同じ東方原作だと「東方三月精」が一度作画担当の交代を経験していますが、その時の三月精は一話完結方式だったため今回とはかなりケースが違います。
外見や正体はまだ明かされていないとはいえ、新キャラである反獄王の話をこのまま途切れさせるというのはあまり考えられません。

ただ、作品の今後についてZUN先生と話し合っているという編集部の発表の通り現状では将来の展開は未定であり、どちらにせよ私たち読者は公式な続報を待つしかありません。


まとめ
突然の連載終了となった「東方智霊奇伝」ですが、こうして最終話から振り返って考察などをしてみると見どころも多く、しっかり推理漫画として作られていたことが分かります。
さとりが探偵をするという話が原作で展開されるという時点で衝撃的でしたが、それでもちゃんと話の上のバランスブレイカーにならずに物語が進んでいるというのは面白いですね。
あと、最終話の銀木犀先生の漫画は今まで一番に魅力的だと思いました。
ここで降板となるのは非常に悔やまれます。
「東方智霊奇伝」はもう無理かもしれませんが、二次創作など何かしらの形でまた銀木犀先生の漫画やイラストを見れる日が来ることを願います。