2021年2月27日、東方Project第18弾作品の「東方虹龍洞〜 Unconnected Marketeers.」が発表されました。
当日に書いた記事にも軽い感想や考察は載せたのですが、最新作発表の衝撃が少し落ち着いたところでストーリーやゲームシステムなど改めて色々と考察してみたいと思います。

なお、本記事では情報や画像の出典として下記の公式プレスリリースを引用させていただいておりますが、あくまで開発中の物とのことなので体験版または完成版で内容が変わる可能性があります。
その点をご了承の上で、あくまで事前に公開されている範囲の情報を元にした考察としてお読みいただけると幸いです。




時系列
本作は東方Projectの原作ゲームとしては第18弾となります。
本作の体験版と同じ日に例大祭で配布予定の「東方剛欲異聞」は第17.5弾なので、これまで通りナンバリングと同じ順番で時系列が進むなら「東方剛欲異聞」より後の時系列を描く作品となりそうです。
現在判明している中では「東方剛欲異聞」と被っている登場キャラも主人公コンビの霊夢と魔理沙以外にはおらず、少なくとも現段階の情報では地底を舞台にしている「東方剛欲異聞」と違って、本作や青空の下で戦っている画像や妖怪の山を仄めかすような台詞(これについては後述します)しかないので、作品として取り扱う異変は別々の事象と考えてまず間違いないと思います。

原作書籍に関しては、現在連載されている原作漫画の「東方酔蝶華」と直近に連載終了した「東方智霊奇伝」のどちらとも今のところ本作との関連のありそうな描写はありません。


ストーリー
以下公式プレスリリースの引用です。

「巷に不思議なカードが流通していた。そのカードには数多の人間、妖怪の秘密が込められている様だった。何故、誰が、どうやって……。全てが見当付かないまま、巫女は調査に出る。」
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この文章は自機選択画面を見る限り霊夢のストーリーのあらすじのようです。
本作では霊夢の他にも魔理沙、咲夜、早苗が自機として登場するのですが、それらの個別のあらすじは現時点では不明です。
ただ、本作の重要アイテムとなるカードが各キャラのお話が始まる理由になることはまず間違いないです。


カード
この項目ではストーリー上のカードについて考察し、ゲームシステム面でのアビリティカードについては後述します。
ただ、本作は「システムとストーリーと弾幕が結びついた」とプレスリリースで称されているように、ストーリーの要素とゲームシステムが密接に関係しているため重なって解説する部分も多いです。

このカードのポイントは巷に流通しているというところで、数多の人間や妖怪の秘密が込められているようです。
それがゲームシステムとしては色んなキャラの能力を少しずつ所有(購入)してゲームを進めるというように再現されており、実際にゲーム画面に載っているカードはチルノや打ち出の小槌など東方キャラかそれに関連している物が描かれています。

あくまで考察ですが、キャラクターの能力が込められたカードを購入してパワーアップするというのは、現実のトレーディングカードゲームまたはソーシャルゲームと非常に近いのではないでしょうか。
それこそ、例えば東方二次創作スマホゲームの「東方ダンマクカグラ」にはミタマカードという東方キャラが描かれたカードがシステムとしてありますし、東方原作でよくある時事ネタの一環として、ストーリーやシステムで暗喩や風刺的に取り入れられてもおかしくないと思います(あくまで考察です)。


ゲームシステム
上記の通り、本作のゲームシステムはストーリーと密接に関わっております。

まず、本作の自機システムですが、選択画面を見る限りショットの種類は高速と低速どちらも一キャラにつき一種類のようです。
追尾と集中のバランスタイプとされている霊夢なら、ゲーム画面的にも今まで何度も使われてきたホーミングアミュレットとパスウェイジョンニードルがおそらく本作も採用されていると思います。
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残り人数(残機)、スペルカード(ボム)、霊力(パワー)という見慣れたシステムの他にも、本作には資金力という独自の数値があります。
おそらく、アビリティカードの購入に使われます。

ストーリー上でも重要アイテムである本作の目玉システムとなるアビリティカードは使用カード、装備カード、能力カードがありそれぞれ別々に所持することができるようです。
入手方法ですが、まず自機選択では初期装備アビリティカードを複数パターンから選択することになります。
そして、ゲームの途中で購入することもでき、これが本作の鍵となる要素になります。
どうやって購入するのかはまだ伏せられていますが、カードの流通を追うというストーリー上その方法に何か重大な秘密が隠されている可能性もあるのかと思います。


タイトル
タイトルは事前の情報のみで考察する上で重要な情報源となります。
メインタイトルの「東方虹龍洞」ですが、タイトルをそのまま字面通りに考えれば虹の出ている洞窟が舞台となったり、東方の世界観では特別な存在であるはずの龍が出るように見受けられます。

ただ、本作はある場所が舞台になるのではないかという噂がネット上では早くも囁かれています。
どのような噂なのか紹介する前に、とりあえず下記のゲーム画面をご覧ください。
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こちらのゲーム画面は早苗が山の妖怪に近づくなと言われている場所を訪れている場面ですが、実はこの場所に該当しそうな設定が既に東方原作には存在していたのです。
2006年に出版された「東方求聞史紀」に妖怪の山の内部に大きな空洞があり、外の世界さながらの未来楽園があるという記述があるのです。
私もその話をネットで見てすぐに、慌てて本棚から「東方求聞史紀」を取り出して読み返してしまいました。

「東方求聞史紀」は原作ファンならご存知の通り、阿求が執筆したという体裁の書籍なので該当箇所についてはあくまで作中の噂として記述されているのですが、その洞窟には本来幻想郷で禁じられているはずの結界に穴を開ける行為が行われており、外の世界と繋がっている所があるためそこに住んでいる妖怪以外の者を寄せ付けていないという、早苗によって語られた事情と一致するような記述まであります。
そこは空洞ではあるものの一日中太陽の光が届くそうで、本作のタイトルにある虹が出現する気象条件を満たしていますし、タイトル画面のような本作の虹色基調で明るいポップな雰囲気とも合致している気がします。
それに、空洞に住んでいる妖怪たちは外の世界さながらと例えられるほどの技術の自動化された工場で生活に必要な道具を生み出していたりもするので、不思議なカードを作り出して流通させるということも不可能ではないでしょう。

これらの設定との関連はあくまでも噂や考察の段階でしかありませんが、あまりにも該当する箇所が多いことからかなりの有力説に思えます。

サブタイトルの「Unconnected Marketeers.」はというと、個々の単語を直訳すると"Unconnected"が関係の無い、または繋がりが無いというような意味で、"Marketeers"は市場の商人(たち)という意味です。
今まで歴代東方原作のサブタイトルはゲームの内容に沿うものや登場キャラクターを指すものとなっていたため、本作のサブタイトルも何らかの意味があるはずです。
まだ全容は分かりませんが、サブタイトルからしても流通が本作のテーマの一つであることはほぼ確実だと思います。


まとめと感想
今後例大祭で配布される予定の体験版では、(おそらく)3面までのストーリーと細かいゲームの仕様が判明するはずです。
体験版が配布される機会は限られているので、入手を予定している方は必ず計画を立てておきましょう。

感想としては、私が一番気になっているのはSTGとして非常に斬新なカードシステムですかね。
もちろんストーリーも楽しみですが、初報だけでまず遊んでみたいなと思わせるようなゲームシステムを実装したのは見事というしかありません。
長期コンテンツながら常に新しい要素が出てくるのが東方Projectの大きな魅力の一つだと思うので、このようなゲームシステムは大歓迎です。

あと、本作のシステムは歴代作品と同じかそれ以上にストーリーの要素が反映されています。
しかし、整数STGの前作である「東方鬼形獣」でサポートキャラであった動物霊(の所属する組織)に実は自機キャラが利用されていたという展開があったように、設定的な面で本作のカードにも何かどんでん返しが仕込まれている可能性も十分あると思います。

最後に妖怪の山の空洞の件ですが、正直に言ってかなりの有力説だと思います。
もしその説が本当なら外の世界との繋がりも示唆されていますので、既存の世界観が大きく動く新設定が開示されることもあるかもしれません。
山の妖怪に近づくなと早苗が言われたほどの場所とは何なのか、非常に気になります。